晴れを呼ぶ猫の一生
君と初めて出会った日も晴れだった。君は僕が滑り台の上で昼寝している僕を見つけるなりびくっと体を硬直させ、涙目で逃げていったっけ。
君と会う日は、いつも晴れだった。公園で遊ぶ君は、暖かくて日当たりのいい滑り台の上で昼寝するのが日課だった僕が居るせいで、いつも滑り台で遊べなくて、べそをかいていたね。
いつだったか、昼寝場所を移動する僕と道端でばったり会って、君は僕を追いかけてきたことがあったね。まさかそこが、君の家の屋根だったなんて、本当に偶然だと思った。そうして僕は、君の家に身を置こうと思ったんだ。
それからは、昼寝をする暇が無いくらいいっぱい楽しいことがあった。猫なのに、犬みたいに外で元気いっぱいに走り回ったり、君と子供みたいにじゃれあったりもした。
君は僕の事を晴れ猫晴れ猫と呼んでいたけど、僕にとって、君こそが太陽みたいだったんだ。この幸せが、今日も明日も、来月も来年もずっとずっと続けばいいと思った。
でも、猫はやっぱり猫だから、人間より長生きすることなんて出来なかった。
最初は、体調が少しおかしいだけだと思ったけど、思ったより悪くて、僕は呼吸もままならなくなって、カーペットに倒れこんだ。君はぐったりしている僕を抱えて、動物病院まで行ってくれた。
隣の部屋で話をしていた君は、僕のことを気にして何も言わなかったけど、僕はもう分かっていたんだ。窓の外の、土砂降りの景色を見たら、ああ、もう終わりなのかなって何となく分かったんだ。
しばらくして、君はまためそめそし始めた。ああ、またそんな顔をして。
僕は君とずっと一緒に居て、とっても幸せだったんだよ。
家族とか、家庭とか、野良で居た頃は考えられないような幸せをいっぱいもらったから。君と家の屋根に上って寝転んで、青い空から降り注ぐ太陽の光の暖かさを知ったから。それに、今この瞬間だって、君は僕の事をずっと見ていてくれる。僕はそれだけで幸せなんです。
だから、そんなに涙を零さないでください。