雑煮の定義

お餅の形は四角か、あるいは丸か、そのお餅は、そのまま鍋にいれて煮込むのか、それとも一度網で焼いて、焦げ目が付くか付かないかの微妙なところを鍋にいれるのか、ダシは鰹節か、昆布か、煮干しか、ダシの素か、そして味付けは醤油か、塩か、赤味噌か、白味噌か。本当にたくさんのパターンがある。具材の差異を除いたこれらの違いだけでも、2×2×4×4=64通り存在する。中に入れる野菜や肉、その他の具を考えれば、そのパターンはそれこそ天文学的な値になる。お雑煮。この料理だけは、他の料理のように、これがグローバルスタンダートというレシピが存在しない。
また、地域によってかなり違った特色が存在するのも、この料理の特色だ。伊勢エビをいれたり鯛をいれて見たり、想像しただけで垂涎もののお雑煮も多いが、一見するとこれが食えるのかと思うほど妙な取り合わせもある。でも伝統的にその地域に根付いた物なのだから、なにかの理由があって定着したわけである。それを実際に食べて見るまではだれも否定はできない。否定してしまえば、それは他文化の否定に他ならず、外国の否定や他地域の否定に止まらず、隣人や自分以外のすべての存在に対する否定につながる。それは良くない。良くないから、このお雑煮を食べるんだ。え、何が入っているのかだって?そんなの気にする方がやぼってもんよ。雑多な物を煮ると書いて雑煮と読む。何が入っていても良いのさ。あんな動物の肉やこんな形の草、青いキノコが入っていても雑煮。さあ食え。