後味の悪い夢(3/4)
次に気が付いたのは、火事になったホテルの客室だった。私は必死になって逃げ回り、大ホールが耐火構造になっており、防火設備も備え付けてあることを発見した。そこには、私と同じように自力でたどり着いた人間もいれば、ホテルの従業員に誘導されて来た人間もいた。そうして、ホールに続々と人が集まって来る。しかし、やがてここにも火の手は迫って来る。そうなれば、ここもシャッターを閉じなければならない。いくら耐火設計であっても、ホール内の内装や壁紙は燃え易いのだ。
ホールから伸びる長い廊下を、こっちに向かって来る一人の女性を見つけた。後ろからは火の手が意志をもった生き物のように迫って来る。ただ、この距離ならここまで逃げ切れる。私はそう思った。彼女もそう思っていたに違いない。しかし、ホールの入り口手前に設置された熱感知センサーが反応して、突然、彼女を残したままシャッターが閉った。私は慌てて強制開閉スイッチを探した。彼女がシャッターを必死に叩いている。しかし、スイッチを見つけるのが遅すぎた。すでに、炎がシャッターの向こうまで回っていた。今開けてしまえば、炎はここまで来てしまうだろう。私は、スイッチを押せないでいた。彼女は半狂乱でシャッターを叩いていたようだったが、しばらくして止まった。